休む飛ぶそのほか知らず赤とんぼ
赤とんぼ空から離れられずをり
萩の花下駄の足元乱れける
秋深し赤きビー玉ころがして
いつまでも空食べてゐる赤とんぼ
囁きを萩の風音かき消せり
静魚
場所が変わって初めてのKIMA句会、お台場のTOKYO MUSIC HANABI を観ながら十月のご報告です。 風邪やお仕事で欠席多数、少し寂しくなりそうで心配しましたが、明るい環境の新会場のおかげで元気な句会になりました。 9名の参加です♪
今月の兼題は「深秋(秋深し、秋闌ける、秋深む、秋さぶ)」「萩(初萩,山萩、こぼれ萩、乱れ萩)」「赤蜻蛉(秋茜、深山茜)」。 結女さんからの投句を含め、全69句の中から、先生の選、特選と、参加者それぞれの特選を清書順にご紹介いたします。(俳句賞応募予定の方の句は伏せます。)
[河内静魚 特選]
完璧を期する男や愛の羽根 結女
川風の細かくなりて萩の花 毬
深秋はスリットの奥ひそみをり 彩河
◎悔しさはどんな形よ秋の雲 毬
深秋のプラネタリウム前で待つ 静夜
[河内静魚 選]※全九句。内一句人魚さん。
こぼれ萩をんな言葉をこぼしけり 桃兎
深秋や名菓つまみて国談義 魚童
ゆずられて浅く掛けたり秋の椅子 結女
秋深し新書にカバー欲しくなり 陶青子
赤とんぼ姿なきまま暮れにけり 静夜
奥宮の白木の鳥居秋深し 魚童
手でちぎるパンのびやかに今朝の秋 結女
白萩や生まれ変はりし夢を見る 静夜
[静夜 特選]
川風の細かくなりて萩の花 毬
[陶青子 特選]
万年の石も黙りて秋闌ける 太平洋
[魚童 特選]
人魚句
[彩河・人魚 特選]
いつまでも空食べてゐる赤とんぼ 静魚
[毬 特選]
深秋や馬の高さで見てをりぬ 静夜
[桃兎 特選]
奥宮の白木の鳥居秋深し 魚童
[太平洋 特選]
とんぼ釣り昭和の空の竿の群れ 魚童
毬さん、絶好調♪ 先生の特選の中でも一番といわれたのが「悔しさの…」の句。 「悔しさ」の形を詠んだのが新しくユニーク、と絶賛。 「川風の…」はデリケートな表現力で、川面のキラキラ感や水音までが伝わってくる句、とおっしゃっていました。 毬さん、素晴らしいですね♪
その毬さんとの互選を楽しまれたのが静夜さん。 なんと毬さんの七句のうち四句を選び、うち一句が特選で、また静夜さんの句の中から三句を選び、うち一句を特選としたのが毬さんなのです♪ もともとテニスの師弟関係であるお二人、俳句での相性も抜群ということなのでしょうか。 「深秋の…」の句は、更けゆく秋の感じがでている、と先生が大層お褒めになっていました♪
今回は魚童さんもご活躍です♪ 先生の選の他、太平洋さん、不肖私の特選を手中にされ、オーソドックスで、安定感のある句を多く披露してくださいました。 私は「奥宮の…」の句を、奥宮まで足を延ばそうという気持、奥宮ならではの清しい白木の鳥居に、秋の深まることを感じ取る気持が滲み出ていて、いい句だなぁ、と思い選ばせていただきました。
「このところの不調は目をみはるばかり…」などとおっしゃりながら投句してくださり、実はしっかり先生の特選、選を手にされている結女さん。 どこか滑稽味のあるユニークな句として「完璧を…」の句を選ばれ、「のびやか」なパンに秋らしさを感じたと先生がおっしゃるあたり、さすがです。 日時の変ったKIMA句会に出られなくても、しろかね句会にはぜひ参加していただきたいものです♪
さて、来月の兼題は「のちの月(後の月、栗名月、豆名月、十三夜、名残の月)」と「野菊」。これは先生がイメージする結女さんの花。 傍題なしの「野菊」限定です♪ そして「冬近し(冬隣、冬を待つ)」。 来月のKIMA句会は11月3日、沢山のご参加をお待ちしております♪
冬近し厚きプラトン書の余白 有馬朗人